暗算を速くするコツ|たし算・ひき算・かけ算の考え方
暗算を速くする近道は、数を「きりのいい形」に組みかえることです。この記事では、たし算・ひき算・かけ算・わり算で使える考え方を例つきで紹介し、練習で速くなる理由と、ナカミドの暗算テストの数え方をまとめます。
結論:コツは3つ
- 10をつくる:8+7は「8+2+5」で15。
- きりのいい数にしてから直す:19×6は「20×6−6」で114。
- 位ごとに分ける:26×3は「60+18」で78。
そのうえで、1けたどうしの計算と九九を「考えずに思い出せる」ようにしておくと、どの方法も途中の計算が速くなります。
答えの出し方は2つある
研究では、暗算の答えの出し方をよく2つに分けて考えます。九九の「7×8=56」のように答えを思い出す方法と、数を分けたり順に足したりして組み立てる方法です。大人は、1けたどうしのたし算やかけ算は思い出して解き、10より大きい数の計算は組み立てて解くことが多いとされます。思い出して解けることは、速く正確に計算できることと結びついていると説明されています。
数が大きいほど時間がかかることも知られています。大学生20人の実験では、2〜9の数どうしのたし算の式(「5+7=12」のような数字の式と、英単語で書いた式)が正しいかを判断してもらいました。正しい式での平均は、2つの数の積が25以下の「小さい」組み合わせで1,274ミリ秒、それより大きい組み合わせで1,704ミリ秒でした(数字と英単語の式をあわせた値)。
練習すると、組み立てていた計算の一部が思い出す計算に置きかわる、という見方があります。若い大人がかけ算とひき算を練習した脳画像の研究では、かけ算は「思い出す」方向へ、ひき算はより速く効率のいいやり方へ変わったと報告されています。ただ、大人が1けたの計算をどれだけ思い出して解いているかは、実験の説明のしかたで本人の報告が変わりうるという指摘もあり、見方はそろっていません。
たし算のコツ
10をつくる
小学1年生で習う方法です。8+7なら、7を2と5に分けて、8+2で10、10と5で15。反対に8を5と3に分けて、3+7で10をつくる方法もあります。「あといくつで10か」(8なら2、7なら3)がすぐ出てくるほど速くなります。47+8のような2けた+1けたでも、47+3で50、残りの5で55と同じ形で解けます。
きりのいい数にしてから直す
63+28なら、28を30とみて63+30=93、多く足した2をひいて91。イギリスの教員向け資料では「補正の方法(compensation method)」と呼ばれることがあると紹介されています。9、19、28のように、きりのいい数に近い数を足すときに向いています。
位ごとに分ける
36+47なら、十の位どうしで30+40=70、一の位どうしで6+7=13、合わせて83。十の位から足すと、答えのおおよその大きさが早めに分かります。
ひき算のコツ
10からひく・順にひく
12−7のようなくり下がりのあるひき算には、代表的な方法が2つあります。10から7をひいた3に残りの2を足して5にする「減加法」と、12から2をひいて10、さらに5をひいて5にする「減減法」です。学習指導要領解説では、どちらを主に教えるかは、数の大きさに合わせて柔軟に使い分けられるようにするのが原則とされています。教科書会社の算数用語集では、一般に減加法のほうが計算しやすいとされています。52−7なら、52−2で50、50−5で45です。
たし算で考える
75−27は、「27にいくつ足すと75になるか」と考えます。27から30までで3、30から75までで45、合わせて48。おつりを数えるのに似ているので、イギリスの資料では「お店の人の方法(shopkeeper's method)」と紹介されています。73−68のように2つの数が近いときは、68から70で2、70から73で3、答えは5とすぐ出ます。
多めにひいて戻す
75−48は、48を50とみて75−50=25、ひきすぎた2を戻して27。たし算の補正を、ひき算に使う形です。
かけ算・わり算のコツ
九九は「思い出せる」ように
かけ算の土台は九九です。イギリスの資料は、九九の表で覚えているもの(1・2・5・10の段など)に印をつけ、7×6や8×9のような手ごわい組み合わせを見つけて練習するようすすめています。9の段は「10の段から1つ分ひく」(6×9=60−6=54)と考えることもできます。
19×6は「20×6から6をひく」
19を20とみて20×6=120、多くかけた1つ分の6をひいて114。学習指導要領解説にも、19×6の答えが20×6の120より小さくなると見当をつける例が出てきます。48×7なら、50×7=350から2×7=14をひいて336です。
位ごとに分けてかける
26×3は、20×3=60と6×3=18を合わせて78。「かけられる数をばらして、それぞれかけて足す」考え方(分配法則)で、2けた×1けたならたいていこれで解けます。
わり算はかけ算の逆で
56÷7は「7の段で56になるのは?」と九九を逆にたどります。84÷7のように答えが2けたなら、84を70と14に分けて、70÷7=10、14÷7=2、合わせて12です。
| 考え方 | 例 | 向いている計算 |
|---|---|---|
| 10をつくる | 8+7=8+2+5 | くり上がりのあるたし算 |
| きりのいい数にして直す | 63+28=93−2 19×6=120−6 | 9や19など、きりのいい数に近い数 |
| 位ごとに分ける | 36+47=70+13 26×3=60+18 | 2けたのたし算、2けた×1けた |
| たし算で考える | 75−27:27→30→75 | 近い数どうしのひき算 |
| わり算を分ける | 84÷7=10+2 | 答えが2けたのわり算 |
練習で速くなるのか
中国の1つの小学校で、3年生104人を2つに分けた実験があります。一方は14日間、ふつうの計算練習をしました。もう一方は、前半の7日間で数字を絵に置きかえ、1けたどうしのたし算を絵とお話で覚える方法を学び、後半の7日間はその絵を思い浮かべながら練習しました。練習後、1けたどうしのたし算44問にかかった時間は、ふつうの練習のグループが平均94.7秒、覚え方を学んだグループが87.7秒で(練習前はどちらも103秒台)、まちがいの割合も後者が少なくなりました。論文も、人数が少なく地域が限られることを限界に挙げており、大人にそのまま当てはまるとは限りません。
ここまでの研究をふまえると、練習では次のことを意識するとよさそうです。
- 1けたどうしの計算と九九を、考えずに思い出せるようにする。
- 苦手な計算の種類を見つけて、そこを重点的に練習する(練習による変わり方は、計算の種類によって違うと報告されています)。
- 手順の少ない方法を選ぶ。手順が少ないほど、途中で覚えておく数が減ります。
あせると計算が止まるのは
頭の中の計算では、途中の数を覚えておく「作業記憶(ワーキングメモリ)」を使います。算数への不安が強い人は作業記憶の容量が小さく測られ、別のことを覚えながらたし算をすると、時間とまちがいが大きく増えたという研究があります。研究者は、不安が作業記憶を一時的に妨げていると説明しています。算数への不安で勉強や生活に強く困っているときは、学校の先生やカウンセラーなどに相談してください。この記事は診断ではありません。
ナカミドの暗算テストの数え方
ナカミドの暗算テストは、60秒のあいだに何問正解できるかを数えます。
- 「3・2・1」の合図のあと、1問目が出た瞬間から60秒を計ります。
- 答えは数字ボタン(パソコンは数字キーも可)で入力し、答えのけた数まで入れると自動で答え合わせをします。決定ボタンはありません。
- まちがえると、同じ問題に答え直します(0.5秒は入力できません)。3回まちがえたときだけ正しい答えを1.5秒見せて次へ進み、その問題は正解に数えません。減点はありませんが、そのあいだも時間は進みます。スキップはありません。
- 時間切れのときに出ていた問題は数えません。
難しさは5段階で、正解した数だけで上がります(まちがえても上がりません)。出る計算は、学習指導要領解説で「簡単な計算の暗算」とされる範囲(2けたどうしのたし算・ひき算、2けた×1けたのかけ算、その逆のわり算)とほぼ重なります。
| レベル | 正解数 | 出る計算 | 役に立つ考え方 |
|---|---|---|---|
| 1 | 0〜4問 | 1けた+1けた | 10をつくる |
| 2 | 5〜9問 | 1けた+1けた、くり下がりのあるひき算、九九 | 減加法・減減法、九九 |
| 3 | 10〜19問 | 九九、2けた+1けた、2けた−1けた、九九のわり算 | 10をつくる、九九を逆にたどる |
| 4 | 20〜29問 | 2けたどうしのたし算・ひき算、九九のわり算、2けた×1けた(小さめ) | 位ごとに分ける、補正、たし算で考える |
| 5 | 30問〜 | 2けたどうしのたし算・ひき算、2けた×1けた、答えが2けたのわり算 | 19×6型の補正、わり算を分ける |
結果には正解数のほか、一発正解率(1回目の入力で正解できた割合)、正解1問あたりの平均秒、たどり着いたレベル、計算の種類(+−×÷)ごとの平均秒、入力方法も出ます。平均秒が長い計算が、練習のしどころの目安です(レベルが上がると同じ計算でも問題が難しくなる点には注意してください)。
記録をのばす小さなコツ
- 2けた以上の答えは、最後のけたを押す前なら「けす」(パソコンは Backspace)で直せます。1けたの答えは、押した瞬間に答え合わせになります。
- 当てずっぽうで押してまちがえると、0.5秒入力できないうえに、同じ問題を解き直すことになります。
- 記録には入力の速さも入ります。友達と比べるときは、同じ入力方法(タッチ・キーボード・マウス)だと公平です。
よくある質問
そろばんを習うと、暗算は速くなりますか?
頭の中にそろばんを思い浮かべて計算する方法について、始めた時点で5〜7歳の小学生204人をランダムに分けて3年間追った実験があります。習ったグループは計算のテストで比較グループを上回りました。一方で、作業記憶のような基本的な力そのものは変わらず、始めた時点の空間の作業記憶が上達の差にかかわっていました。大人がいまから始めた場合の効果は、この研究からは分かりません。
暗算が速い人は、頭がいいのですか?
暗算の速さは、その計算にどれだけ慣れているかで変わります。そろばんの研究でも、計算のテストの成績は上がっても、基本的な力は変わっていませんでした。ナカミドの暗算テストは、この種類の計算をその日にどれだけ速く解けたかの目安で、学力や知能を測る検査ではありません。
何問解ければ速いほうですか?
ナカミドにはまだ参加者の記録がたまっていないため、何問なら平均といった目安は出していません。記録が100人分たまると、結果画面に「上位◯%」が出るようになります。
考え方を1つ決めて、実際に試してみてください。
問題の範囲や数え方のくわしい決まりは、暗算テストの計算のしかたにすべて書いています。数字を覚える力は数字記憶テスト、数字を順に探す速さは集中力テストで測れます。
参考にした資料
- 文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 算数編」(87・140・143・188ページ。10をつくるたし算、減加法・減減法、19×6の見積り、簡単な計算の暗算の範囲):PDF(mext.go.jp)
- 新興出版社啓林館「減加法・減減法」(算数用語集):shinko-keirin.co.jp
- Department for Education(The National Strategies)「Teaching children to calculate mentally」(2010。補正の方法、お店の人の方法、九九の練習、分配法則):PDF(Digital Education Resource Archive)
- Sokolowski HM, Hawes Z, Ansari D (2022) The neural correlates of retrieval and procedural strategies in mental arithmetic: A functional neuroimaging meta-analysis. Human Brain Mapping:PMC9783428
- Faulkenberry TJ (2017) A Single-Boundary Accumulator Model of Response Times in an Addition Verification Task. Frontiers in Psychology:PMC5513980
- Ischebeck A, et al. (2006) How specifically do we learn? Imaging the learning of multiplication and subtraction. NeuroImage:PubMed 16413795
- Kirk EP, Ashcraft MH (2001) Telling stories: the perils and promise of using verbal reports to study math strategies. Journal of Experimental Psychology: Learning, Memory, and Cognition:PubMed 11204096
- Liu D, et al. (2024) Improving mental arithmetic ability of primary school students with schema teaching method: An experimental study. PLOS ONE:PMC11020525
- Ashcraft MH, Kirk EP (2001) The relationships among working memory, math anxiety, and performance. Journal of Experimental Psychology: General:PubMed 11409101
- Barner D, et al. (2016) Learning Mathematics in a Visuospatial Format: A Randomized, Controlled Trial of Mental Abacus Instruction. Child Development:PubMed 27062391
この記事について
この記事は、ナカミドを運営するくぁくぁが、生成AI(Anthropic の Claude)の下書きの手伝いを受けて書き、参考にした資料を開いて内容を確かめました。最終確認日は2026年9月28日です。作り方は編集方針に書いています。まちがいや古くなった情報に気づいたときは、お問い合わせから教えてください。確かめて直します。