シュルテ表とは? 1〜25を順に探す集中力テストのやり方と目安
シュルテ表は、5×5のマスにばらばらに置かれた1〜25を、1から順にできるだけ速く探すテストです。もとは注意の働きを調べる心理検査として考えられ、今も検査や注意のトレーニングに使われています。この記事では、成り立ちとやり方、測っているもの、タイムの読み方をまとめます。
結論
- シュルテ表は、ランダムに並んだ1〜25を順に探しきる時間を測るもので、ドイツの精神科医ヴァルター・シュルテが注意を調べる検査として考えたと説明されています。
- 主に測っているのは、目で探す速さと、そのあいだ注意を切らさない力です。ただ、数字の見つけやすさ(1桁か2桁か、色など)やルールの違いも結果に混ざります。
- タイムの目安は、ルールでかなり変わります。ある研究では、25から逆に探してタッチペンで指す方式で、18〜20歳の大学生10人が1枚あたり平均37.7秒、7〜8歳の子ども10人が平均72.3秒でした。
- 練習すればシュルテ表は上手になりやすいものの、それで速読ができる、ふだんの集中力が上がる、とまでは言えません。
シュルテ表とは
基本の形は、縦5マス×横5マスの表に、1〜25の数字を1つずつランダムに入れたものです。下はこの記事のために作った例です。1から順に探してみてください。
| 14 | 12 | 22 | 15 | 6 |
| 20 | 4 | 21 | 1 | 17 |
| 8 | 24 | 25 | 7 | 16 |
| 2 | 19 | 5 | 3 | 13 |
| 18 | 10 | 9 | 11 | 23 |
6×6や7×7に広げたもの、数字の代わりに文字を使うものもあります。2色を使う「シュルテ=ゴルボフ表」や、アラビア数字とローマ数字をまぜる「シュルテ=プラトーノフ表」といった変わった形もあります。
考えた人と歴史
ロシア語版ウィキペディアは、シュルテ表を「注意の性質を調べる心理診断の課題として、ドイツの精神科医・心理療法家ヴァルター・シュルテが考えたもの」と説明しています。2025年の研究会で発表された論文も、20世紀半ばにシュルテが考えたとし、はじめは工学心理学(機械を扱う人の働きを調べる分野)で、オペレーターが目で探す動きの速さと効率を測るのに使われた、と書いています。
ロシア語版ウィキペディアの人物の項目は、この人を1910〜1972年のドイツの精神科医で、テュービンゲン大学の教授を務めた人としています。ただ、同じ人物のドイツ語版の項目には、表のことが出てきません。表を最初に発表した年や論文も、今回開いた資料では確かめられませんでした。
ロシアの2024年の研究は、シュルテ表を「子どもや10代の注意と作業の能率を調べる昔ながらの方法」と位置づけ、7〜17歳の239人から年齢ごとの基準をまとめています。中国の2022年の研究も、大人や子どもの注意のトレーニングに広く使われてきたと書いています。
やり方
基本のやり方
- 表を見せると同時に、時間を測り始めます。
- 1を見つけて指し、次に2、3…と25まで順に進みます。
- 25を指したところで止めて、かかった時間を記録します。
細かいルールは、資料によって違います。ロシア・アルタイ地方の公的な支援センターが出している手引きでは、数字を指しながら声に出して読み、表を見せると同時にストップウォッチで測ります。2025年の論文は、指も声も使わず目だけで探す方式を紹介しています。2021年のある研究では、タブレットに出した表を25から1へ逆に探し、タッチペンで指していました。
ルールが違えば、同じ人でもタイムは変わります。指で押せば指を動かす時間が、逆順なら「25の次は24」と数を1つずつ引く手間が入ります。ほかの人や資料と比べるときは、まずルールがそろっているかを見てください。
検査として使うときは5枚続けてやる
心理検査として使うときは、並びの違う表を5枚続けてやり、1枚ごとの時間の変化も見ます。上の手引きでは、コズイレワ(А. Ю. Козырева)の方法として、次の3つの数字を出しています(T1〜T5は1〜5枚目の時間)。
作業の効率 =(T1+T2+T3+T4+T5)÷ 5
立ち上がり = T1 ÷ 作業の効率
持ちのよさ = T4 ÷ 作業の効率
立ち上がりと持ちのよさは、どちらも1.0より小さければよい状態で、大きいほど、本調子になるまで時間がかかる(立ち上がり)、後半に崩れやすい(持ちのよさ)と読みます。手引きには、ふつうはどの表にもほぼ同じくらいの時間がかかる、とも書かれています。
何を測っているのか
主に測っているもの
- 目で探す速さ:1つの数字を、ほかの24個の中から見つける作業のくり返しです。研究でいう「視覚探索」です。
- 注意を切らさない力:25個を最後まで順に追い続ける必要があります。5枚続けてやる検査では、慣れや疲れによる変化も見ます。
- 覚えておく働きと数の処理:2021年の研究の著者は、見かけた数字の場所を覚えておく働きや、逆順なら引き算も関わると考えました。ただ実際には、24〜17と16〜9で1個あたりの時間がほぼ同じで、場所を覚えて速くなっていく様子ははっきりしませんでした。
数字の見た目も効きます。この研究は25から逆に探したので、最後は1桁の数字が続きます。1個を見つける時間は、大人が24〜9では1.7〜1.8秒ほど、最後の8〜1では約1.3秒でした。子どもは3.2〜3.6秒ほどから約2.2秒に縮みました。研究者は、1桁の数字は2桁と大きさや形が違って目に留まりやすかったこと、引き算が1桁どうしになって楽になったことを理由として考えています。
色もタイムを変えます。中国の小学4年生27人(8〜11歳)の実験では、一部のマスの数字を赤にした黒と赤の表のほうが、黒だけの表より探す時間が長くかかりました。1〜3を順に探す課題でも、5を1つだけ探す課題でも同じでした。
測っていないもの
- 知能や学力:数十秒の探す作業の速さで、頭のよさ全体はわかりません。
- 病気や発達の特性の有無:シュルテ表は専門家の心理検査の中で使われることもありますが、ナカミドのテストは医学的な検査ではありません。結果から病気や発達の特性の有無はわかりません。
- 読む速さ:あとで書くとおり、読書の速さとは別のものです。
- 長い時間の集中:測れるのは数十秒の集中です。何時間もの勉強や仕事の集中と同じとは限りません。
タイムの目安
公開されている数字を集めました(どれも5×5の表)。ルールも対象もばらばらなので、横に並べて比べるものではありません。
| 資料 | 対象・やり方 | 時間 |
|---|---|---|
| Khramova ほか(2021年) | 18〜20歳の大学生10人。25から1へ逆順、タブレットの表をタッチペンで指す。5枚 | 1枚あたり平均37.7秒(標準偏差12.8秒) |
| 同上 | 7〜8歳の子ども10人。同じやり方 | 1枚あたり平均72.3秒(標準偏差20.1秒) |
| アルタイ地方の支援センターの手引き | 1から25へ、指しながら読み上げる。5枚。子ども向けの解釈つき | 平均的な目安は40〜42秒。30〜39秒が5段階のいちばん上、90秒以上がいちばん下 |
| 同上(コズイレワの点のつけ方) | 5枚の平均時間を、年齢ごとに5段階の点にする | いちばん上の5点は、10歳で45秒以下、11歳で35秒以下、12歳で30秒以下 |
注意点もあります。研究の人数は各10人と少なく、大学生はIT系の学科の1〜2年生でした。同じ年ごろの10人でも標準偏差が12.8秒あり、速さにかなりの開きがあります。手引きの40〜42秒という目安は、どんな人を何人測った数字かが書かれておらず、5段階を1枚ごとの時間に当てるのか、5枚の平均に当てるのかも書かれていません。
年齢の影響も大きいです。7〜17歳239人の研究は、注意の時間的な変化にかかわる指標は、性別ではなく年齢の影響を受けるとまとめています(9〜10歳では、作業の効率に性別の影響も見られました)。子どものタイムを大人の目安と比べる意味はあまりありません。
タイムを安定させるコツ
- 見る距離を毎回そろえる:距離が変わると、目を動かす量も変わります。速読の練習として紹介されるやり方では、目から30〜35cmほど離し、表のまん中を見たまま探すよう勧めています。これで速くなるかを確かめた研究は見つけられなかったので、合うかどうかは試して決めてください。
- あわてて押さない:ナカミドのテストでは、押しまちがい1回につき1秒が足されます。当てずっぽうに押さず、見つけてから押しましょう。
- 1回目は様子見と考える:はじめは画面やルールに慣れる時間が入ることがあります。ただ、2021年の研究では5枚の時間に目立った差がなく、1枚目がいつも遅いとは限りません。
- 比べるときは条件をそろえる:同じ端末、同じ明るさ、同じくらいの時間帯でやると、日による差が見やすくなります。
くり返せばタイムは縮みやすいと考えられます。ただ、脳トレの研究を調べた2016年の総説は、練習した課題そのものが上手になる証拠は多い一方、よく似た課題への効果の証拠はそれより少なく、かけ離れた課題やふだんの生活での認知の力が上がる証拠はほとんどない、としています。シュルテ表のタイムが縮んだら、まずは「シュルテ表が上手になった」と受け取るのが無難です。
よくある質問
シュルテ表で速読ができるようになりますか?
期待しすぎないほうがよいです。シュルテ表は、視野を広げて速く読む練習として紹介されることがあります。しかし、読書の研究をまとめた2016年の総説とその紹介ページによると、目を1か所に止めるたびに取り込める情報の量には限りがあって変えにくく、視野の端の情報はぼやけています。理解を保ったまま読む速さを2倍や3倍にするのは難しく、速読の訓練で速くなった人は理解が落ちていたとされます。シュルテ表の練習で読む速さが上がるかを確かめた研究は、今回は見つけられませんでした。
タイムが遅いと、集中力に問題があるのですか?
そうとは限りません。ルール、画面の大きさ、年齢、眠さ、慣れなど、タイムを動かす要素はたくさんあります。1回の結果は、そのときの目安です。日常生活で集中できずに困っていることが続く場合は、テストの数字で判断せず、医師や専門の相談窓口に相談してください。
子どもがやってもいいですか?
はい。もともと子どもの注意を見る場面でもよく使われてきた課題です。ただし年齢でタイムが大きく変わるので、大人と比べるより、同じ子の前回と比べるほうが意味があります。
ナカミドで試す
ナカミドの集中力テストは、5×5のマスに並んだ1〜25を、1から順にタップするシュルテ表の形です。はじめての端末では3×3の練習を1回してから、並びの違う本番を2回行います。各回の時間に、押しまちがい1回につき1秒を足し、2回の平均を四捨五入した秒数が結果です。ほかの参加者との比較(上位◯%)は、参加者が100人に達してから表示し、いまはまだ集計中です。測り方の詳しい説明は計算のしかたにあります。
目で探す速さではなく、合図に反応する速さを見たいなら反応速度テスト、文字の意味と色の食い違いに惑わされずに答える力なら色と文字テストもあります。
参考にした資料
- Таблица Шульте(シュルテ表)— ロシア語版ウィキペディア
- Шульте, Вальтер(ヴァルター・シュルテ)— ロシア語版ウィキペディア
- Walter Schulte (Mediziner)(ヴァルター・シュルテ)— ドイツ語版ウィキペディア
- Hovorushchenko T. ほか(2025)Information system for psycho-diagnostics using the Schulte table. CEUR Workshop Proceedings Vol-4159(PDF)
- Khramova M.V. ほか(2021)Monitoring the Cortical Activity of Children and Adults during Cognitive Task Completion. Sensors 21(18), 6021
- Lu A. ほか(2022)Attention mechanisms underlying dual-color digital visual search based on Schulte grid: An event-related potential study. Brain and Behavior 12(2), e2471
- Sergienko A.A. ほか(2024)Application of the "Schulte table" Method in Children and Adolescents: New Analysis Options, Normative Data. Actual Problems of Psychological Knowledge 2024(1), 262–273(要旨)
- Методика «Таблицы Шульте»(シュルテ表の手引き)— アルタイ地方 心理・教育・医療・社会支援センター(PDF)
- Rayner K. ほか(2016)So Much to Read, So Little Time: How Do We Read, and Can Speed Reading Help? Psychological Science in the Public Interest 17(1), 4–34(要旨)
- 上記論文の紹介ページ — Association for Psychological Science
- Simons D.J. ほか(2016)Do "Brain-Training" Programs Work? Psychological Science in the Public Interest 17(3), 103–186(要旨)
この記事について
この記事は、ナカミドを運営するくぁくぁが、生成AI(Anthropic の Claude)の下書きの手伝いを受けて書き、参考にした資料を開いて内容を確かめました。最終確認日は2026年9月28日です。作り方は編集方針に書いています。まちがいや古くなった情報に気づいたときは、お問い合わせから教えてください。確かめて直します。