ストループ効果とは? 文字の色を答えると遅くなるわけ
ストループ効果は、赤い色で書かれた「青」という字を見て、色の「あか」を答えようとすると、遅くなったりまちがえたりする現象です。私たちは文字を見ると、読もうとしなくても意味が頭に入ってきます。その意味が、答えたい色の名前とぶつかるためだと考えられています。この記事では、1935年のもとの実験、遅くなる理由、心理学での使われ方、ナカミドの色と文字テストのしくみを、資料をもとにまとめます。
ストループ効果とは
文字の色を答える課題で、文字の意味と色がずれていると答えが遅くなる現象を、ストループ効果といいます。
- 一致:「赤」という字が、赤い色で書かれている
- ずれ(不一致):「赤」という字が、緑の色で書かれている
ずれた文字の色を答えるのは、「XXX」のような意味のない文字の色を答えるより、ずっと遅く、まちがいも増えます。反対に、文字と色が一致していると、意味のない文字より答えが速くなる「促進」も知られています(MacLeod と MacDonald の2000年の総説)。
1935年のストループの実験
名前のもとは、心理学者のジョン・リドリー・ストループ(John Ridley Stroop)です。1935年に、3つの実験をまとめた論文を心理学の専門誌に出しました。実験1と2では、1枚に100語が並んだ紙を使い、声に出して読む(または色を言う)時間をストップウォッチで測っています。
| 実験 | 比べたこと | 結果 |
|---|---|---|
| 1(大学生70人) | 色の名前を読む。黒で印刷した文字と、ちがう色で印刷した文字 | 100語で平均2.3秒(5.6%)長くなっただけで、確かな差とはいえなかった |
| 2(学生100人) | 色を言う。色の四角と、ちがう色で印刷した色の名前 | 100語で平均63.3秒から110.3秒へ、74%長くなった |
| 3(大学生32人) | ずれた文字の色を言う練習を8日間(1日200回) | 時間は1日目の平均より33.9%短くなったが、邪魔はなくならなかった。一方で、文字を読むときに色から受ける邪魔は大きくなった |
「文字を読む」は色にほとんど邪魔されないのに、「色を言う」は文字に強く邪魔されました。この向きの違いが、ストループ効果の大きな特徴です。
使った色は赤・青・緑・茶・紫の5色です。黄色は、ほかの色と同じくらいの強さで文字を印刷するのがむずかしいため外した、と書かれています。また、ストループの紙には、文字と色が一致したものは入っていませんでした。
英語版ウィキペディアによると、この効果はそれより前の1929年に、ドイツのイェンシュ(E. R. Jaensch)が発表していました。ストループは、英語で初めて発表した人とされています。さらに、19世紀のキャッテルやヴントの研究にさかのぼれるとも書かれています。
なぜ遅くなるのか
読むことが「自動」になっているから
よく知られた説明は、文字を読むことが長年の練習で自動になっている、というものです。大人は毎日たくさんの文字を読むので、字を見ただけで意味が浮かびます。一方、色を見てその名前を言うことは、読むほどには練習していません。ストループ自身も論文の中で、文字を読む速さと色を言う速さの差は、2つの練習量の差で説明できると考えていました。MacLeod と MacDonald の総説は、2つの処理のどちらがより自動的かで、邪魔の向きと大きさが決まる、という考え方を中心にまとめています。
自動かどうかは、練習で変わる
Cohen らの1990年の研究は、処理の「道」が練習で強くなっていくコンピュータのモデルで、ストループ効果を再現しました。自動かどうかは「ある・なし」ではなく、練習で少しずつ変わるもの、という考え方です。ストループの実験3で、色を言う練習を重ねたら文字を読むほうが邪魔されるようになったことも、この考え方と合います。
「速いほうが勝つ」だけでは説明しきれない
文字は色より速く処理されるので、先に届いて邪魔をする、という説明もあります(英語版ウィキペディアでは「処理速度説」として紹介されています)。ただ、1998年の日本の研究では、漢字で見られる逆向きの邪魔(後で説明します)は、色を文字より先に見せても残りました。そして、漢字とかなの違いは処理の速さの差では説明できない、と報告されています。
心理学での使われ方
- 注意の検査:ストループ効果をもとにした検査は、臨床や研究で広く使われています。2017年の文献レビューは、邪魔を抑える力のほか、注意や処理の速さなどを調べるのにも使われてきたと紹介しています。一方で、点数のつけ方が研究ごとにまちまちで、速さだけを見ると正確さの問題を見落とすことがある、とも指摘し、速さと正確さの両方を見る点数のつけ方を提案しています。
- 脳のはたらきを調べる:1990年に健康な8人をPETで調べた研究では、ずれた文字の色を答えるとき、脳の前帯状皮質という場所の反応がいちばんはっきり出ました。
- 感情ストループ:色の名前の代わりに、気持ちに関わる単語の色を答えてもらう形もあります。1996年の総説は、心の不調で治療を受けている人が、自分の悩みに関わる単語の色を答えるのに時間がかかることが多い、という研究をまとめています。
どれも、専門家が決まった手順で行う研究や検査です。ブラウザで1回遊んだ結果から、注意の力や心の状態を判断することはできません。
日本語だとどうなる?
日本語は、同じ色の名前を「赤」「あか」「アカ」と書き分けられます。1981年の Morikawa の研究では、漢字でもかなでもストループ効果が出ました。漢字とかなの間には差があり、色の四角と比べた邪魔は、1935年の実験よりずっと小さかったそうです。文字を読むほうが色に邪魔される逆向きの効果は、漢字でだけ見られました。
ただ、漢字とかなのどちらで邪魔が大きいかは、研究によって分かれています。漢字のほうが大きいとした以前の研究(Coderre らの論文での紹介)もあれば、100人で調べてかなの課題のほうが大きかった研究も、9人で調べてはっきりした差が出なかった研究もあります。
答え方でも大きさが変わる
声で答えるか、ボタンで答えるかでも変わります。2019年の研究では、「XXXX」と比べたときの邪魔は、キーを押して答えると73〜76ms、声で答えると155〜168msで、声のほうが2倍ほど大きくなりました。色の名前をキーボードで打って答えるオンライン実験(40人)では、一致の平均が859ms、ずれが1,152msで、差は293ms(約0.3秒)でした。
ブラウザで測る反応時間には、画面の表示やタッチの検出の遅れも入ります。スマホとノートパソコンで調べた研究では、端末とブラウザの組み合わせごとの平均で、実際より約58〜133ms長く記録されました(1回ごとでは約45〜164ms)。
ナカミドの色と文字テストのしくみ
色と文字テストは、文字にまどわされずに、どれだけ速く正確に色を選べるかを、練習をふくめて2分ほどで測ります。
- 最初に、4つの色を見分けられるかを確かめます(採点しません)。
- 練習を8問やります。
- 本番は48問です。「赤・青・黄・緑」の漢字が4色のどれかで出るので、文字の色を4つのボタンから選びます。36問は文字と色がずれていて、12問は一致しています。1問の制限時間は2.5秒です。
色読みタイム(ms)= 正解した問題の反応時間の中央値 ÷ 正答率
たとえば中央値が760msで、48問中45問正解なら、760÷(45/48)で約811msです。あわてて押してまちがえると数字が大きくなるので、速さと正確さの両方が大事です。内訳には、一致の問題の速さと、ずれた問題でどれだけ遅くなったか(ずれの影響)、正答率も出ます。ずれの影響は同じ端末の中での差です。上のスマホとパソコンの研究でも、条件どうしの差は、反応時間そのものより端末の違いの影響を受けにくいと考えられています。
結果の「n人中 上位◯%」は、実際にこのテストを受けた人の記録と比べた位置で、受けた人が100人に届くまでは出しません。まだ比べられる記録がないため、この記事では「ふつうは何ms」という目安も書いていません。くわしい手順は計算のしかたにあります。
色の見え方への配慮
このテストは、4つの色を見分けられることが前提です。日本眼科学会によると、生まれつきの色覚の特性(先天色覚異常)は、日本では男性の約5%、女性の約0.2%に見られます。そのほとんどは「先天赤緑色覚異常」と呼ばれるタイプで、それ以外のタイプは非常にまれとされています。
そこでナカミドでは、色の見え方の多様性に配慮して作られた「カラーユニバーサルデザイン推奨配色セット」の赤・青・黄・緑を使っています。色の確認で見分けにくい色が残ったまま進んだ回は、上位◯%の計算に使うデータに入れません。見分けにくい色があると数字が大きめに出ることがありますが、それは見え方の違いで、良し悪しではありません。
このテストは色覚の検査ではありません。色の見え方で困っていることがあるときは、眼科で相談してください。
よくある質問
何回もやると速くなりますか?
速くなりやすいです。ストループの実験3でも、練習で時間は3割あまり短くなりました。ただ、邪魔そのものは消えませんでした。前の自分や友だちと比べるときは、回数や条件をそろえると比べやすくなります。
スマホとパソコンで結果は変わりますか?
変わります。表示や入力の遅れが端末ごとに違ううえ、タッチとキーボードでは押しやすさも違います。比べるときは、同じ端末・同じ入力方法で比べてください。夜間モードやブルーライトカットは画面の色味を変えるので、できればオフにしてください。
数字が大きいと、注意力が低いということですか?
いいえ。眠気や慣れ、画面の明るさなどでも数字は変わります。このテストは遊びとしての目安で、医学的な検査や知能検査ではありません。
ストループ効果は、説明を読むより体験したほうがよく分かります。赤い「青」の字に、自分がどれくらい引っぱられるか、色と文字テストで確かめてみてください。
参考にした資料
- J. R. Stroop (1935)「Studies of interference in serial verbal reactions」Journal of Experimental Psychology, 18, 643–662:Classics in the History of Psychology(ヨーク大学)の全文
- C. M. MacLeod, P. A. MacDonald (2000)「Interdimensional interference in the Stroop effect: uncovering the cognitive and neural anatomy of attention」Trends in Cognitive Sciences:PubMed
- J. D. Cohen, K. Dunbar, J. L. McClelland (1990)「On the control of automatic processes: a parallel distributed processing account of the Stroop effect」Psychological Review:PubMed
- K. Moriguchi, Y. Morikawa (1998)「Time course analysis of the reverse-Stroop effect in Japanese Kanji」Perceptual and Motor Skills:PubMed
- F. Scarpina, S. Tagini (2017)「The Stroop Color and Word Test」Frontiers in Psychology:PMC
- J. V. Pardo ほか (1990)「The anterior cingulate cortex mediates processing selection in the Stroop attentional conflict paradigm」PNAS:PMC
- J. M. Williams, A. Mathews, C. MacLeod (1996)「The emotional Stroop task and psychopathology」Psychological Bulletin:PubMed
- Y. Morikawa (1981)「Stroop phenomena in the Japanese language: the case of ideographic characters (kanji) and syllabic characters (kana)」Perceptual and Motor Skills:PubMed
- E. L. Coderre ほか (2008)「The Stroop effect in kana and kanji scripts in native Japanese speakers: an fMRI study」Brain and Language:PMC
- Y. Watanabe ほか (2015)「Prefrontal activation during two Japanese Stroop tasks revealed with multi-channel near-infrared spectroscopy」The Journal of Medical Investigation:PubMed
- M. Augustinova, B. A. Parris, L. Ferrand (2019)「The Loci of Stroop Interference and Facilitation Effects With Manual and Vocal Responses」Frontiers in Psychology:PMC
- M. J. C. Crump, J. V. McDonnell, T. M. Gureckis (2013)「Evaluating Amazon's Mechanical Turk as a Tool for Experimental Behavioral Research」PLOS ONE:journals.plos.org
- T. Pronk ほか (2020)「Mental chronometry in the pocket? Timing accuracy of web applications on touchscreen and keyboard devices」Behavior Research Methods:PMC
- 日本眼科学会「先天色覚異常」:nichigan.or.jp
- NPO法人カラーユニバーサルデザイン機構「カラーユニバーサルデザイン推奨配色セットについて」:cudo.jp
- Wikipedia(英語版)「Stroop effect」:en.wikipedia.org
この記事について
この記事は、ナカミドを運営するくぁくぁが、生成AI(Anthropic の Claude)の下書きの手伝いを受けて書き、参考にした資料を開いて内容を確かめました。最終確認日は2026年9月28日です。作り方は編集方針に書いています。まちがいや古くなった情報に気づいたときは、お問い合わせから教えてください。確かめて直します。